去年、日本で2番目に高い北岳を、テン泊登山で登った次男(9歳・小学生)。
「おれ、今年は富士山登りたい!」
とせがまれてたので、今年夏、登ることに決めていました。
ということで2018年7月21日に、次男にとっての初富士山、4つある登山道のうち、「須走コース」で登ってきました。
この記事は、その準備から登頂に至る記録です。
富士山をお子さんを連れて登る予定の方々へ、多少でも参考になればと思います。
また、子連れ登山者だけでなく、登山初心者の方にとっても参考になればと思いまとめてます。ご参考になればと!
富士山の親子登山の準備
富士山を登る、と決めても、実際にはいろんな登り方があります。
「吉田」「須走」「御殿場」「富士宮」と4つもある登山道のどれを登るのか以外にも、宿泊有無、登山時間など考える要素がたくさん。
まず最初に、登山の大枠を決める必要があります。
山小屋を使うか日帰りか、ご来光を目指すか諦めるか。
その際に高山病対策をどう考えるか。
登山口へのアクセスをどうするか(公共交通OR自動車)・・・
富士山の親子登山の計画については色々な意見があるので、この記事以外にもみなさんじっくりと調べて、自分やお子さんの体力を踏まえて検討しましょう。
我が家の場合、「ご来光を目指さない」「日帰り」の親子登山にしました。
その理由は以下の通りです。
- 子供の場合、山小屋に泊まる方が高山病になりやすいという情報があり、これを信用(高山病になる高い標高に身を置く時間が長ければ長いほど、高山病になりやすいという理屈)
- 我が家の子供の日頃の体力から、日帰りでの連続行動に耐えられると判断
- いつも9時に寝かせているので、ご来光は最初から諦めた
改めて、高山病対策については真逆のこと(山小屋に泊まった方が良い)を書いている本やウェブサイトもあります。
はっきりいって正解はなく、計画の成否は子供の体力や親のスキルにもよります。
また親がどのくらいのリスクを許容するかという育児方針にも大きくよります。
各自が自分たちにあった計画づくりをすることが大事です。
富士山の親子登山で須走コースを選んだ理由
さて、富士山の登山道は、四つ存在しますが、そのなかで、
須走コースが親子での登山に向いているとぼくが思うのは、以下の理由から。
- 一番メジャーな吉田コースに比べて、混雑してない
→富士山を登る人の半分が吉田コースを使うらしいです(!!!) そら混むわ。
須走コースは、山頂直前で吉田コースと合流するけれど、それまでは基本全然混雑しません。 - 所要時間は吉田コースに比べてちと長めだけど、疲労と高山病でへろへろになってるであろう下山道の時間がすこし短い
→吉田コース:目安で登り6.5時間、下り3.75時間
須走コース:目安で登り7時間、下り3.5時間
*大人のペースです。子供連れの場合、1.5倍くらい見ておいた方が良いです - 「砂走り」というふかふかの砂・砂利のゾーンが下りコースにあり、下りやすい。駆け下りると楽しい!(思いがけず砂利の中に岩があるので、もちろん安全に注意する必要はあります)
2023/6追記:こちらの体験記を元に、以下の英語ブログ記事も書きました!
富士山の親子登山の持ち物
富士山とはいえ、通常の登山と必要装備は同じです。
- 飲物(一人2リットル=2キロ程度)
- 行動食
- 雨具上下
- トレッキングシューズ
- 運動用の通気性のよいシャツ
- ツェルト
- コンパス
- ライター
- 地図またはGPS
- ヘッドライト
- モバイルチャージャー
- 防寒具(ダウンジャケットかフリース)
さらに富士山特有の条件を踏まえ、以下は追加で必要と考えます。
紫外線、日焼け対策
一般的に1000メートル登るごとに、紫外線が10%強くなると言われています。
標高が3776メートルにもなる富士山においては、40%近く紫外線が強くなります!
したがって、日焼け対策と、紫外線から目を守る対策は必要です。
- サングラス
- 首を守れる帽子
- 日焼け止め
これらがないと、眩しさや日焼けに苦しむ事になります。
現にぼくは、日焼け止めを塗らなかったばかりに、いま顔面の日焼けがひどいことになってます。。。
砂ぼこり対策
須走コースの「砂走り」ゾーンなどは、砂・砂利のほこりが激しく舞い上がります。
自分がいくら気をつけても、周りの登山者の巻き起こすほこりに巻き込まれるでしょう。口や鼻の保護が必要です。
また登山靴に小石が入れば、たちまち靴擦れの原因となります。
よってマスク、またはBUFFなどの円筒形のスカーフ、それとゲイターは必須です。
- マスク、または円筒形のスカーフ
- ゲイター(登山用スパッツ)
BUFFのような円筒形のスカーフは、頭に巻き付けたり、ネックウォーマーにしたり、今回やったようにマスクにしたりといろんな使い方ができるので、 あると便利です。
ゲイター(スパッツ)は、登山靴とズボンの隙間から小石などが入り込むのを防ぐものです。
今回下山時に速いペースで駆け下りたのですが、小石や砂のまきあがりが本当にすごかった。
ゲイター(登山用スパッツ)があれば、しっかりと歩きに集中できるようになります。
ちなみにゴアテックスのように湿気を通すものがお勧め。
今回、次男はゴアテックスではないゲイターを使った結果、内部が蒸れて足首周辺がアセモになってしまいました。。。ごめんよー。
落石対策
- ヘルメット
富士山のヘルメット要否についてはいろんな意見があります。要らないという意見が多いです。
あの野口健さんも、親個人の考え方によるが自分は富士登山でヘルメットはしない、と言われています。
過去の落石事例を色々調べた結果、結構な頻度で落石が発生している事を確認しました。
また御嶽山の事例もあり、同じ活火山である富士山であれば同様の事象発生可能性は否めません。
我が家としては
「もし既に登山に使えるヘルメットがあるのであれば、持って行って損はない。多少の重さ増はあったとしても」
と結論づけ、自分のと息子の分のヘルメットを持参しました。
ちなみに、登山用のヘルメットでなくても自転車用のヘルメットや防災用のヘルメットでも充分です。防災ヘルメットの場合、通気穴が空いてないので蒸す可能性がある一方、自転車用ヘルメットは通気孔が大きすぎて、小石が通り抜けるリスクはありますが。
高山病対策
- 大人用鎮痛剤(イブ)
高山病の薬として有名なものはあるものの、処方箋が必要。
今回、薬局で気軽に入手できるものを探し、我が家の場合、大人用にはイブをつかうことにしました。
酸素缶は見送り
なお「酸素缶」は、色々調べた結果、前回も今回も利用を見送ってます。
代わりに、登山中の深呼吸をかなり頻繁に行うように意識します。
父の隠れミッション
くわえて、実は今回の隠れミッションとして、どうしても富士山の頂上でカップラーメンを食べる、というのをやりたかった。
富士山頂で、バーナーを使って調理することはダメなのかと思って調べたのですが、山小屋のそばとかでなければ問題ないとのこと。
バーナーを安定しておけるような場所を探すのが難しいかもとのことだったので、携帯テーブルを使って実行することに。
なのでバックパックには通常の登山装備に加え、バーナーやコッヘルや食料、携帯テーブル、カップ麺用の水1リットルなど、余計な・・・いや、男のロマンを詰めて、バックパックの重さがプラス数キロ。
富士登山の前日 - 登山者専用駐車場で一泊
スーパーで買ってきたお弁当を食べて、日が暮れるまでダラダラして。
ヒグラシの鳴く声が鳴り響く、ステキな環境でした。
そして七時半くらいに次男を寝かせます。何しろ明日は四時起き。
富士山のふもとだから涼しいかと思いきや、案外ジメッとしてます。
いつもキャンプの時に悩まされる、蚊、ブヨ、アブがいないのはとてもうれしい。
一方で、神経が高ぶって、3時間ほどしか眠れない自分。。。
富士登山〜当日朝
木の間から覗く富士山。
途中、鹿の親子が2回も道を横切るというハプニングに息子のテンションはあがります。
そして登山開始です。
ポールはトレラン用に2組持ってる、ブラックダイアモンドのDistance Z(アルミ版)をひと組、息子に貸します。明らかに長いんですがうまく使えてました。
樹林帯を歩き抜けると、見えるは富士山頂。
うおーーーー、あんなところまで登るのか。。。登るんです。
最初から雲海がみえてます。
前回長男と登った時は、小雨が降ってるほどで道中の大半は曇り。
今回は遮るものが何もない直射日光。
うれしいようで、結構キツイ。
高山病対策で、こまめに深呼吸をし、水分補給をとります。
ハイドロで水を飲んでると、同じくらいのペースで登ってたグループが、ハイドロの使い方がわからないと声をかけてきます。
自分の使ってるのとも違うタイプでしたが、あれこれいじってたら、水が出てきました。
お礼にお菓子をもらい、次男は嬉しそうw
こういうちょっとした交流も、登山の良いところですよね。
これ以上ないくらいの晴天。景色の素晴らしさったら。
上を見ればジグザグに進む登山者たちがみえます。
暑さと高山病にやられる父
しかし、、、ズッシリと肩に来るロマンの重みと、激しい直射日光とで発汗激しいなか、だんだん体力が削られてきます。
次男の高山病対策として、積極的に水分をとらせてたら、予想よりも早く用意してた飲み物が底をつく。
飲物を買ってたら今度はお金も心細くなり始める始末。(水もジュースも一本五百円の世界)
しかたなく、カップ麺用の水も飲みはじめます。
さらに8合目すぎたあたりから、高山病の症状である頭痛がではじめ、早速用意してたイブを飲みます。
頭痛はすぐに収まったものの、風呂上がりのような激しい立ちくらみが何メートルか進むごとに襲ってきます。
前回は頭痛だけだったので予想外。し、しんどい。。
山小屋で休憩してると、外国からのかなり軽装な登山者がいきなり横で嘔吐🤮
かなりつらそうです。。。声をかけようかと思ったら大慌てで山小屋の中に駆け込んで行きました。まぁ、山小屋なら大丈夫でしょう。
一方、次男はやたらと調子が良く、大人以上のハイペースでグングン登っていきます。
自分にペースをあわせて調子を狂わせてほしくないため、安全な場所では、先に行って自分を待ってもらいます。もちろん危険な登り方ではないのですが、あまりにも早いので周りの大人もあっけにとられるほど。
無理してるのかと思いきや呼吸も上がっておらず、全然キツそうでもないのです。
ところがこれは、ろうそくが燃え尽きる前の最後の輝きだったのかも(汗
(あとでひどい高山病に襲われます)
そして富士山頂へ到着
目まいに耐えながら、なんとかして頂上にたどりつきました!!!
高山病との戦い 第二章
頭痛、立ちくらみ・目まい・・・
前回は頭痛だけだったんですが、今回は種目が増えてます(汗
しかし、、、
この表情をみればわかるように
おはち巡りを1/4ほどまわったところでわかりやすく次男は限界に達しました。
須走コースを下山
途中あった売店の店頭に、記念スタンプがあるも押す紙がなにもなく、しかたなくヘルメットにスタンプしてみると。。
いい感じに仕上がりました。カッコよくね?
すぐ落ちそうだけど。。。
下山を開始。
延々と続く下山道。
砂ぼこりが凄いので、バフで鼻と口をガード。
山頂ではひどい高山病の症状に襲われた次男。
しかし高度が下がるにつれ、徐々に症状が緩和し順調にくだります。
砂走りの仕方を教えてあげたら、すぐに体得し(あくまで安全第一)、
めっちゃ速く降りられました。
この頃になると、ポーズを取る余裕も。
ひたすら、豪快に下る!
だいぶ下まで降りてきました。
そして下山完了
登り6時間半、頂上で1.5時間、そして下り2時間を経て、予想よりも2時間ほど早くに我らのアドベンチャーは終了。
下山口に着くと、ちょうどバスも来てたので、すぐに乗り込みます。
駐車場に戻ったら、園内のベンチ・テーブルで晩ご飯を ゆっくり食べつつ、乾杯するだけだ。
クーラーボックスに余分に入れてた氷が、暑さにも関わらず奇跡的に残ってたおかげで、ビールはキンキンに冷えたまま。
思わず「神さま!」って声出ちゃいました。
そして念願の。。。
乾杯!うんめー!!
よくがんばった!!!
この時ほどうまいと思ったビールはない。
クッキリとうつる富士山全容がみられたり。
トラブルはあったものの、完璧な週末でした!!!
富士山登山を検討する際に参考にしたページ
https://kusuri-soudan.com/altitudesickness-6210/
薬剤師の方が、市販されている薬で高山病に効くものをあげてくれてます。
※他にも思い出し次第追加予定