山道具ラボ by Daringdaddy

#山で使う道具の話 #軽さと快適さのあいだ #買う前に知りたかったこと

ULブランド探訪:Garage Grown Gear —— 台所カウンター発、ULコテージの集積地

Garage Grown Gear ロゴ

1. はじめに:GGGを知る前と後で、ギア探しが全然違う話

ULギアのドツボにはまると、ある時期から「欲しいものが売っていない問題」に直面する。

r/ultralightやトレイルのコミュニティで話題になるブランドを検索すると、公式サイトは出てくる。英語で。送料が書いてある。関税がかかるかどうか調べる。アカウントを作る。住所を英語で入力する。カードを打ち込む。届くまで3週間待つ。——これをブランドごとに繰り返す。Zpacks、Pa'lante、Katabatic Gear、Gossamer Gear、それぞれ別の窓口から。

国内で買えればいいが、これらのブランドのほとんどは正規代理店がなく、Amazonにもない。あったとしても在庫がなかったり、取り扱いが一部モデルだけだったりする。

ある日、誰かのテント場でひっそりと立っているシェルターを見て「それ、なんですか?」と聞いたことがある。「Tarptentだよ、GGGで買った」という返事だった。

GGGを初めて開いたとき、正直しばらく閉じられなかった。

Brandsページをスクロールすると、ずっと知りたかったブランドと、まだ知らないブランドが、交互に並んでいる。840点以上の製品が1つのカートに収まる。送料は1回。アカウントも1つ。しかも各ブランドのページには、その創業者が何を考えてガレージを飛び出したかが、ちゃんと書いてある。

「なんでこんなサイトが日本でほとんど知られていないんだろう」というのが、最初に思ったことだ。

ULギアを本気で追いかけている人間にとって、GGGを知っているかどうかは、ギアの選択肢が文字通り倍になるかどうかの違いだと思っている。


2. アイダホの台所カウンターで始まった話

2014年、Amy Hatchはアイダホ州の自宅の台所カウンターから、GGGを立ち上げた。

彼女の経歴は少し変わっている。もとはアラスカで地域新聞を切り盛りし、放送局のプロデューサーも務めたジャーナリストだ。その頃に出会ったのがパックラフトだった。「こんなに革新的なギアが、なぜ誰も知らないんだろう」——その違和感が原点になる。後にティトン(ジャクソンホール)へ移り、週6日滑るスキーインストラクターとして、アウトドアにどっぷり浸かっていった。

パックラフトという「ガレージで生まれた道具」を追いかけるうちに、気づいてしまった。世の中には、同じように誰かのガレージや小さなアトリエで作られている優れたギアが、山ほどある。ただ、それを一か所で見られる場所がどこにもない。だからGGGを作ることにした。

一方、ミネソタ出身のLloyd Vogelは元・特別支援教育の教師だった。カヤックとバックパッキングのガイド資格を持ち、アラスカのブルックス山脈で多週間ツアーを率いていた人間が、なぜかコテージブランドのECサイト「The Big Outdoors」を個人で運営していた。

2人の出会いはAmyが主催したキャンペーン抽選、5,000人の応募の中からLloydが当選した、という偶然から始まる。後日Outdoor Retailerで初対面し、同じビジョンを持っていることを確認した2人は、2017年3月にGGGとThe Big Outdoorsを統合した。

当時の初期在庫は、LloydのHonda Civicに全部積めるサイズだった。

それが今や、200以上のブランドを取り扱い、22名のチームを抱えるサイトになっている。


3. なぜここにしかないラインナップが揃うのか

GGGの品揃えを初めて見たとき、「なぜこれだけのブランドが一か所にあるのか」と思った。

答えはシンプルで、GGGがブランド側に寄り添うことを最初から選んだからだ。

大手のアウトドアリテーラーは、ブランドにとって「数字を出さないと棚を失う」場所だ。新興ブランドには厳しい。GGGはその逆を行く。小さなブランドのストーリーを深く理解し、製品の背景を記事にして、コミュニティに届ける。売上を最大化するためではなく、ブランドを育てるために品揃えが設計されている。

Zpacks、Katabatic Gear、Pa'lante、Six Moon Designs、Gossamer Gear——ULハイキングで「知ってる人は知っている」ブランドが、ほぼ全部ここに揃っている。国内では絶対に見つからないものも、GGGなら普通にカートに入れられる。

ブランド側がGGGに卸す理由もそこにある。「売ってもらう」ではなく、「一緒に届ける」という関係性だから、信頼が積み重なっていく。


4. YouTubeとマガジンが面白い理由

GGGはECサイトだが、コンテンツへの投資量がおかしい。

YouTubeチャンネルでは、LloydがULギアを実際に手に取りながら語る動画を定期的に公開している。「Top 10 Ultralight Gear」シリーズ、ブランドのスポットライト動画、創業者インタビュー——どれもギアを「売る」ためではなく、ギアの背景にある話を掘り下げるための動画だ。僕はよく登山帰りの夜に流しながら、次のギアを妄想している。

オンラインマガジンも週2〜3本のペースで更新される。Kickstarterの注目プロダクト紹介、ブランドの創業ストーリー、フィールドギアレビュー——これだけ読んでいるだけでULシーンのトレンドが大体わかる。

「買う場所」というより「学ぶ場所」としても機能しているのがGGGの強さで、ここを定期的に見ているだけで、国内ではほぼ入ってこないコテージブランドの情報が自然に積み上がっていく。


5. GGGで出会う、ここじゃないと辿り着けないもの

200以上のブランドが並ぶ中から、特に「これをGGGで買えるのか」と思ったものを紹介する。


Zpacks

Zpacks を知らずにULを語るのは難しい。2004年、Joe ValeskoがATハイクに向けて「既存のギアでは満足できない」と自分でミシンを踏み始めた話は、ULコミュニティでは伝説に近い扱いだ。

Arc Haul Ultra(40L、重量602g)は、DCF素材のバックパックとして長らく「軽さと容量のバランス」の基準点になっている。国内でZpacksを扱っているショップは存在するが、全モデルを在庫しているところはほぼない。GGGならZpacksのバックパック、シェルター、アクセサリーまで一括で見られる。

Zpacks Arc Haul Ultra 40L
画像引用: © Zpacks

テント場でZpacksのDuplex(DCFダブルウォール、504g)を見るたびに、「このまま使い続けるんだろうな」という確信がある。

Zpacks Duplex テント
画像引用: © Zpacks

Outdoor Vitals

キルト・シュラフのカテゴリでコスパ重視の選択肢として頭角を現してきたブランド。StormLoft™ Down TopQuiltシリーズは、ダウン品質と縫製の仕上がりに対して価格が抑えられており、「初めてキルトを試す」という層と「サブキルトを1枚追加したい」という層の両方から評価されている。

Outdoor Vitals StormLoft Down TopQuilt
画像引用: © Outdoor Vitals

GGGのOutdoor Vitalsページには複数の温度レーティングが並んでいるので、自分のユースケースと照らし合わせながら選べる。KatabaticやZpacksのキルトと同じ画面で比較できるのがGGGのありがたさで、価格帯の幅があるから選択肢を広く持てる。


Katabatic Gear

「縫製に妥協しない」という評判が、コミュニティではとにかく強い。

Palisadeキルトは、フットボックスの構造やバッフルの設計が「寝袋の代替」ではなく「キルトとして完成している」と言われる理由がある。他のブランドより少量ずつ生産されており、注文窓口が定期的に閉じる。GGGで在庫があるときに確保するのが、現実的な入手方法のひとつだ。

Katabatic Gear Palisade キルト
画像引用: © Katabatic Gear

Pa'lante Packs

元スルーハイカーが「自分が使いたいバックパックを作るために」立ち上げたブランドで、V2(約510g)の底面メッシュポケットはPCTハイカーの間で定番になっている。

「ポケットに手を伸ばすためにショルダーストラップを外さなくていい」という設計思想は、聞いた瞬間は「それだけのことか」と思う。実際に長距離を歩いたことがある人間には、それが何を意味するかが伝わる。

Pa'lante V2 バックパック
画像引用: © Pa'lante Packs

Gossamer Gear

Mariposa 60(約950g〜)は「UL入門として最初に選んでもいい1本」として長年挙げられている。軽さと背面パネルの快適性の両立という点で、ある種のハードルを下げてくれるバックパックだ。

Gossamer Gear Mariposa 60
画像引用: © Gossamer Gear

Zpacks と Pa'lante が「軽さに徹底している人向け」だとすると、Gossamer GearやHyperlite Mountain Gearあたりは「軽さと実用性の折衷点を探している人向け」という立ち位置で、GGGにはその両方が揃っている。


GGGの何が便利かというと、「あのブランドのこのモデル」と決めて検索するのはもちろん、カテゴリやフィルターで「キルト、700g以下、$300以下」のような絞り込みができる点だ。各ブランドを個別に回るだけでは絶対に比較できない選択肢が、ここでは横断的に見られる。


6. 日本からの買い方

GGGは国際配送に対応しており、日本への直送が可能だ。

手順はシンプルで、流れはこうなる。

  1. 欲しいものをカートに追加
  2. カートページ右上の「Checkout」をクリック
  3. 「Ship to」に日本の住所を入力(ローマ字)
  4. 配送方法が表示されるので送料を確認
  5. 支払い方法を選択して「Pay now」

実際の checkout 画面がこれだ。

GGG チェックアウト画面 — 日本住所・Shop Pay対応
画像引用: © Garage Grown Gear

日本の住所(JP〒から始まる形式)を入力すると、自動で国際配送の送料が計算される。上の例ではZpacksのタープ1点で、USPS Priority Mail International(6〜10営業日)が¥10,400。この金額はチェックアウト時に確定するので、カートに入れる前から気にしなくていい。

日本から注文する際の注意点

  • 配送は通常10〜21営業日。余裕を持って1か月前後を想定しておくと安心
  • 送料は重量と配送方法によって変わる。チェックアウト時に確認できる
  • 関税は商品価格によって発生する場合がある(16,666円超が目安)
  • 返送が必要な場合、国際送料は購入者負担。サイズ感などは事前に確認を

支払い方法

GGGはShopifyで構築されているため、支払いまわりは日本人にとってかなり使いやすい。Visa・Mastercard・Amexのクレジットカードはもちろん、Shop PayやApple Pay、Google Pay、PayPalにも対応している。

特にShop Payは、一度情報を登録しておけば次回以降は住所・カード情報の入力が不要になる。海外ECサイトの「英語の住所入力が面倒」問題を大幅に解消してくれるので、初回だけ丁寧に設定しておく価値がある。カート画面に表示される「100% Secure Payments」バッジはShopifyの決済保証によるもので、セキュリティ面の心配は不要だ。


7. おわりに:知ってからが、ULの本番

GGGを知るまで、ULギアの世界の半分しか見えていなかったと思う。

国内に流通していない、SNSにもあまり出てこない、でも山でずっと使いたい道具——そういうものが全部ここにある。

Amy Hatchがアイダホの台所で「誰かがやらないなら自分でやる」と決めたから、このサイトが存在している。LloydがHonda Civicに在庫を積んで動いたから、今の規模がある。

ECサイトとしての話だけど、結局そこには人がいて、ギアへの執着があって、コテージブランドへのリスペクトがある。だからこそラインナップが信頼できる。

日本からでも普通に買えるので、次のギア購入の選択肢に加えてみてほしい。


参考: GGG公式サイト / YouTubeチャンネル