山道具ラボ by Daringdaddy

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テン泊ガスストーブ7本比較2026 ── 軽さ・コンパクトさ・火力・バランスのどれで選ぶか

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テント場の朝。冷えた指先でガス缶のネジ山を回し、カチッと小気味よく着火する。シュコッ、と青白い炎が立ち上がった瞬間、「あ、今日も山にいるんだ」と思う。

僕の手元には PRIMUS の火力番長 P-153 ウルトラバーナー(116g、3,600kcal/h)がある。テン泊縦走の主力として何年も付き合っている相棒で、後ほどP-153の章で実機体感を交える。

ただ、ガスストーブを買おうとしたとき、本当に厄介なのは 「結局どれ選べばいいの?」 という最後の壁。軽量域に惹かれつつ「とろ火が効かないらしい」と聞き、SOTOのウィンドマスターが評判いいと聞けば値段に怯み、MSRのシンプル設計に惹かれつつ「上位のDeluxeは並行輸入だ」と知って迷う。選択肢が散らかったまま決められない。

この記事は、その散らかりを 4つの軸(軽さ/コンパクトさ/火力/バランス) で整理する。日本国内で正規流通している(PSLPGマーク取得済み)ガスストーブ7本を実測値ベースで横並びにし、「あなたが何を最優先するか」を決めれば自動的に選択肢が2〜3本に絞られる、というナビゲーションを目指す。なお、25g台の超軽量域に存在する PSLPGマーク未取得の中華製品(BRS-3000T 等)は、国内販売が液化石油ガス法上のグレーゾーンであり、本記事ではメイン枠から外して末尾の「番外」セクションで触れる

なお、燃料種が違うストーブ(アルコール / Esbit)を混ぜると比較軸が成立しないため、本記事は OD缶ガス専用バーナー限定。アルコール編・固形燃料編は別記事で扱う。


結論先出し:軽さ・コンパクトさ・火力・バランスの4軸で選ぶ早見表

詳細は後段で展開するが、結論を先に置く。

最優先したい軸 おすすめ1番手 2番手
軽さ Snow Peak Litemax GST-120R(56g) Primus P-116(64g)
コンパクトさ(収納体積) Primus P-116(前世代 P-115 のサイズを継承) Snow Peak Litemax GST-120R
火力(沸騰スピード) Primus P-153(3,600kcal/h、116g) SOTO ウィンドマスター SOD-311(3.3kW、82g)
バランス(軽量+耐風+寒冷時火力) SOTO ウィンドマスター SOD-311(2026新作・82g) Primus P-157(100g、国内製造、PRIMUS派の対抗軸)
国内製造・ブランド整合(PRIMUS派) Primus P-157(2024秋・100g・レギュレータ・Made in Japan)

ここから先は、なぜこの結論になるのかを掘る。


7機種徹底レビュー:SOTO・PRIMUS・MSRの正規流通モデルを軽量順で

1. Snow Peak Litemax GST-120R ── 国産チタンの軽さ56g

スノーピークの軽量バーナー。56gと量産チタンバーナーでは最軽量級で、3枚プレート式の波状カットゴトクが特徴。BRSと違いPSLPGマーク取得済みの国産品で、安心感は段違い。

火力は2,800kcal/h と意外と強い。波状ゴトクが小型クッカーに優しく、滑りにくいのも実用美。ただ、着火装置なしでライターを忘れると詰む。火力調整ノブが約1/4回転で全域を変化させる仕様で、とろ火が極端に難しい

こんな人に:国産ブランドへの安心感とUL軽量域を両立したい人、シエラカップやマグで湯を沸かす程度のシンプルな調理が中心の人。 こんな人は避ける:弱火でじっくり米を炊きたい人、手袋着用の冬期にライター取り回しが面倒な人。

スノーピーク ライトマックス GST-120R
Snow Peak
スノーピーク ライトマックス GST-120R

2. Primus P-116 フェムトストーブII ── 64g、現行ULミニマル

PRIMUS の現行軽量直結バーナー。64g、2.5kW(2,100kcal/h)、3本ゴトク、圧電点火付き、公式 ¥8,800。前世代 P-115(57g)から ワイヤーノブ化+ゴトク補強で耐久性を上げた代わりに7g増という、ハードユース志向の改良世代。手袋越しの操作性が改善され、UL重量域でも国内流通+PSLPGマーク取得済みという安心感が同居する。

系譜の本質は 「最小・最軽量で必要十分な火力を実現する」 という、PRIMUSが守り続ける思想の現代版。3本ゴトクは外径120mmで、1L超のクッカーは載らないか不安定。風に弱いのも事実。だが、64g という重量と「手のひらに完全に収まる」という収納性の体験は、数字では伝わらない満足感がある。シエラカップ+ガス110缶+このストーブで「最小のキッチン」を組めるのが何より美しい。

こんな人に:日帰り+お湯沸かすだけの装備に振り切れる人、装備のミニマリズム自体を楽しめる人、軽量域でも国産流通の安心感が欲しい人。 こんな人は避ける:大型クッカーで複数人分作りたい人、強風稜線でも安定して湯を沸かしたい人。

プリムス フェムトストーブII P-116
Primus
プリムス フェムトストーブII P-116

3. SOTO アミカス SOD-320 ── コスパ国内定番81g

新富士バーナー(SOTO)の廉価モデル。81gで5,300円台という価格性能比は、初めての1台として鉄板。上位機ウィンドマスター譲りのすり鉢状バーナーヘッドで、見た目以上に風に強い。

4本ゴトク標準・外径106mmで、鉄スキ700g級の重量物も安定して載る。圧電点火装置(ステルス着火と同系の電気回路内蔵)もしっかり機能する。

弱点はマイクロレギュレータ非搭載。気温が約10℃を下回ると目に見えて火力が落ちる。3シーズン低山なら問題ないが、残雪期や厳冬期のテン泊には別途上位機を用意したくなる。

こんな人に:最初の1台で迷ったらこれ、ファミキャン兼ソロハイクで使い回したい人、5,000円台で国産品が欲しい人。 こんな人は避ける:冬山テン泊が主戦場の人、UL軽量域を狙う人。

SOTO アミカス SOD-320
SOTO
SOTO アミカス SOD-320

4. SOTO ウィンドマスター SOD-311(2026新作)── 軽量×レギュレータ×4本ゴトクの完成形

SOTO ウィンドマスター SOD-311(2026年新作)4本ゴトク標準仕様
画像引用: 新富士バーナー SOTO 公式

2026年秋発売予定の新作。前作SOD-310から 4本ゴトクを標準装備化し、約18.5%軽量化。バーナー本体60g+新設計4本ゴトク22g=82gで、3.3kW(2,800kcal/h)、マイクロレギュレータ搭載、20m/sの強風でも炎を維持する設計。

旧SOD-310が「3本ゴトク標準・4本ゴトク(SOD-460)別売」だった構造を一新し、最初から大型クッカーも載る4本仕様で出てきた。価格は据え置きの9,350円。

限定セット SOD-311GS(トライフレックスセット) は4本ゴトク+超軽量3本ゴトク(7g)が同梱で、シーンに応じて軽量モードと安定モードを切り替えられる唯一の市販構成。これは変態が喜ぶやつ。

弱点を挙げるとすれば、本体価格がBRSの4〜5倍、UL軽量域から見ると82gはやや重い、くらいか。

こんな人に:テン泊縦走を通年でやる人、稜線・冬期・残雪期に1台で対応したい人、迷うのが嫌で「これ1台買えば10年戦える」を求める人。 こんな人は避ける:軽量域に振り切りたい人(=Litemax 56g / P-116 64g)、9,000円が予算オーバーな人(=アミカス)、PRIMUSブランドで揃えたい人(=後述のP-157)。

SOTO ウィンドマスター SOD-311
SOTO
SOTO ウィンドマスター SOD-311

5. MSR PocketRocket 2 ── 海外UL定番、日本正規流通の73g

MSR PocketRocket 2 ── 73g、モチヅキ正規流通のシンプル軽量直結バーナー
画像引用: Hiker's Depot(MSR正規取扱店)

米Cascade Designs の定番中の定番、PocketRocket 2。73g、2,143kcal/h、Y字型風よけ付きバーナーヘッド、価格 ¥9,020(モチヅキ正規・品番36884)PSLPGマーク取得済みで、株式会社モチヅキが日本正規代理店として流通させているため、国内大手アウトドアショップ・ヨドバシ・Amazon.co.jp 正規ストアで安心して購入できる。

特徴は 「足し算しない潔さ」。ピエゾ点火なし、レギュレータなし、風防別売。代わりに73gという軽量域で、海外ULハイカーが10年以上選び続けてきた完成度の高い基本設計が手に入る。1Lの沸騰時間は約3分半。SOD-311(82g)やSOD-320(81g)より軽く、Primus P-116(64g)より火力が強い、という重量×火力のスイートスポットに位置する。

弱点は明確で、着火装置なしでライターが要る、レギュレータなしで寒冷時の火力低下が大きい、広めゴトクではないので大型クッカーは不安定。シンプルだからこそ、苦手シーンも素直に見える。

MSRには上位機 PocketRocket Deluxe(83g、ピエゾ点火+プレッシャーレギュレータ搭載)も存在する。寒冷時火力と着火信頼性で勝るが、国内正規流通がなく並行輸入のみ。Amazon.co.jp での米国直送は ¥9,000〜13,000のレンジで、価格・入手性ともに不確実。国内で「MSR で揃えたい」なら PocketRocket 2 が現実解。

こんな人に:海外ULコミュニティの文脈で揃えたい人、シンプルで壊れにくい構造を好む人、MSR ブランドを国内正規・PSLPG付きで安心して使いたい人。 こんな人は避ける:寒冷時にレギュレータがほしい人(→SOD-311 / P-157)、ピエゾ点火がほしい人、4本ゴトクで大型クッカーを使いたい人。

MSR PocketRocket 2
MSR
MSR PocketRocket 2

6. Primus P-157 インテグストーブ ── 国産レギュレータ世代の対抗軸100g

Primus P-157 インテグストーブ ── 100g、レギュレータ搭載、国内製造の新世代直結バーナー
画像引用: イワタニ・プリムス 公式

2024年10月発売、PRIMUSが満を持して投入した国内製造のレギュレータ搭載直結バーナー100g、2,840kcal/h(約3.3kW)、4本ゴトク標準、燃焼時間約62分(IP-250T)、価格9,900円

ポジションとしては SOTO ウィンドマスター SOD-311 の真っ向ライバル。重量はSOD-311(82g)よりやや重いが、新設計バルブによる低重心ラミナーフロー で炎を安定させ、4本ゴトク+大径ボディで剛性を稼ぐ。PRIMUSの製品としては珍しくMade in Japanで、国内アフター・サポートの安心感を訴求する。

選定軸としては「SOTOで揃えるか、PRIMUSで揃えるか」というブランド整合性が大きい。テント・ガス缶・シェラフ周りまでPRIMUSで統一している層には、ストーブもP-157で揃えることに美意識がある。逆にUL重量域から見ると100gはやや重く、SOD-311の82gが軽量×レギュレータの最適解になる。

こんな人に:PRIMUSブランドで装備を揃えたい人、国内製造品の品質感を重視する人、テン泊で「定番ブランドの最新世代」を選びたい人。 こんな人は避ける:軽量第一の人(→SOD-311 82g)、すでにSOTOガス缶を常用している人、9,900円が高い人。

プリムス インテグストーブ P-157
Primus
プリムス インテグストーブ P-157

7. Primus P-153 ウルトラバーナー ── 火力王道116g

Primus P-153 ウルトラバーナー ── X字4本ゴトクと圧電点火を備えた火力王道116g
画像引用: イワタニ・プリムス 公式

僕のもう一台のPRIMUSはこれ。116g、3,600kcal/h(4.2kW) の火力番長。4本X字ゴトクが外径148mmと広く、1.5Lクラスのコッヘルでも安定する。

P-153の本質は 「ゴトクと炎口の物理形状で防風と火力分散を同時にこなす」 こと。X字フレームは1セクションが風で消えても他で燃焼を継続する。圧電点火付き、価格7,000〜8,800円帯で、火力・耐風・剛性のバランスが歴代屈指。「迷ったらこれ」と言われ続けて20年以上現役という事実が、設計の完成度を物語る。

弱点は116gという重量と、直結式ゆえの重心の高さ。1.5L超の鍋を載せると揺れる。冬山稜線ならスタビライザー併用が前提。

こんな人に:火力第一でテン泊縦走する人、1L超のコッヘルで2〜3人分作る人、定番の安心感が欲しい人。 こんな人は避ける:UL軽量域を狙う人、ゴトク重心の安定性を完璧にしたい人(→分離型 P-156S Spider III が候補)。

プリムス ウルトラバーナー P-153
Primus
プリムス ウルトラバーナー P-153

4軸で絞り込む:あなたの最優先条件で選択肢は2〜3本に決まる

軸1:軽さ最優先(56〜73gのPSLPG取得済み正規流通モデルから選ぶ)

モデル 重量 火力 価格 注釈
🥇 Snow Peak Litemax GST-120R 56g 2,800kcal/h ¥9,100 国産チタン量産最軽量級
🥈 Primus P-116 64g 2,100kcal/h ¥8,800 UL現行・国内流通
🥉 MSR PocketRocket 2 73g 2,143kcal/h ¥9,020 海外UL定番・モチヅキ正規

軽さの上位は 56〜73g 帯のPSLPGマーク取得済み国内正規品で固まる。Litemax の量産チタン最軽量級、P-116 のシエラカップ収納性、PocketRocket 2 の海外UL定番。この3本は法的リスクのない軽量域 として、ULハイクの装備リストにそのまま組み込める。

なお、25g台の更なる軽量域には PSLPGマーク未取得の中華製品が存在する。国内販売は液化石油ガス法上グレーゾーンであり、本記事ではメイン枠から外している(→末尾「番外」セクション)。

軸2:コンパクトさ(収納体積でクッカー内スタッキングを成立させる)

モデル 収納寸法 体積(概算)
🥇 Primus P-116 54×74×27mm 約108cm³
🥈 Snow Peak Litemax GST-120R 67×34×80mm 約182cm³
🥉 MSR PocketRocket 2 38×56×84mm 約178cm³

3本ともクッカー内スタッキングを成立させる薄型・小型設計。収納体積で選ぶ実用的な意味は「クッカー内に収めて総容積を縮める」ことなので、自分のクッカー内径に収まるかが実は重要。P-116(および前世代P-115)はシエラカップやチタンマグに収まりやすく設計され、Litemax は薄型の折り畳み、PocketRocket 2 はやや縦長ながら 110缶上にコンパクト収納できる。

軸3:火力と寒冷時の実効出力(マイクロレギュレータの有無で決まる)

モデル 公称火力 レギュレータ 寒冷時火力
🥇 Primus P-153 3,600kcal/h なし 出力に余裕で実用十分
🥈 SOTO ウィンドマスター SOD-311 2,800kcal/h(3.3kW) あり -5℃で2,800kcal/h維持
🥉 Primus P-157 インテグストーブ 約3.3kW(2,840kcal/h) あり 国内製造、レギュレータで寒冷時安定

純粋な火力数値ならP-153の3,600kcal/h が頭ひとつ抜ける。だが寒冷時の実効火力で選ぶなら、マイクロレギュレータ搭載のSOD-311やP-157に分がある。レギュレータなしのストーブは、缶内圧が下がる(=気温が下がる、または残量が減る)と素直に火力低下する。MSR PocketRocket 2 はレギュレータがないため、寒冷時火力では一段落ちる位置。

「カタログ火力」と「冬山稜線の実効火力」は別物、という前提で選ぶこと。

軸4:バランス(軽量×耐風×寒冷時×ゴトク剛性を1台で満たす)

モデル 重量 レギュレータ 耐風 ゴトク剛性
🥇 SOTO ウィンドマスター SOD-311 82g ◎(20m/s) ◎(4本ゴトク標準)
🥈 Primus P-157 インテグストーブ 100g ◎(4本ゴトク) ◎(4本標準)
🥉 Primus P-153 116g × ◎(X字ゴトク) ◎(4本X字)

バランスで選ぶならSOD-311が最有力。82gという軽量域、レギュレータ搭載、4本ゴトク標準、20m/s耐風、9,350円という価格設定が、現時点で隙が少ない構成。2026新作の本命としてのポジションは伊達じゃない。

PRIMUS派なら P-157(100g)が国内製造のレギュレータ機として並走する。P-153は116gと重いが、レギュレータがない代わりに生火力で寒さを押し切るという別解。MSR PocketRocket 2 は73gで軽さ寄りなぶん、レギュレータ非搭載の弱点があり「バランス」軸では一歩引くが、シンプル定番の安心感がある。


7機種スペック比較表:重さ・火力・耐風・寒冷時・価格を🌟5段階で可視化

モデル 重さ コンパクトさ 火力 耐風 寒冷時火力 価格 総合
Snow Peak Litemax GST-120R 🌟🌟🌟🌟 🌟🌟🌟 🌟🌟🌟🌟 🌟🌟🌟 🌟🌟 🌟🌟 🌟🌟🌟🌟
Primus P-116 フェムトストーブII 🌟🌟🌟🌟 🌟🌟🌟🌟 🌟🌟🌟 🌟🌟 🌟🌟 🌟🌟🌟 🌟🌟🌟
SOTO アミカス SOD-320 🌟🌟🌟 🌟🌟🌟 🌟🌟🌟 🌟🌟🌟🌟 🌟🌟 🌟🌟🌟🌟 🌟🌟🌟🌟
SOTO ウィンドマスター SOD-311 🌟🌟🌟 🌟🌟🌟 🌟🌟🌟🌟 🌟🌟🌟🌟🌟 🌟🌟🌟🌟🌟 🌟🌟🌟 🌟🌟🌟🌟🌟
MSR PocketRocket 2 🌟🌟🌟🌟 🌟🌟🌟 🌟🌟🌟 🌟🌟🌟 🌟🌟 🌟🌟🌟 🌟🌟🌟🌟
Primus P-157 インテグストーブ 🌟🌟 🌟🌟 🌟🌟🌟🌟 🌟🌟🌟🌟 🌟🌟🌟🌟🌟 🌟🌟🌟 🌟🌟🌟🌟
Primus P-153 🌟🌟 🌟🌟 🌟🌟🌟🌟🌟 🌟🌟🌟🌟 🌟🌟🌟 🌟🌟🌟 🌟🌟🌟🌟

※「総合」は4軸(重さ・火力・耐風・寒冷時火力)の単純平均ではなく、テン泊縦走での使い勝手を主観的に反映。


シーン別ベストバイ:冬山・3シーズン・ファストパッキング・グループ・初心者の最適解

冬山テン泊・残雪期

第一推奨:SOTO ウィンドマスター SOD-311 レギュレータで-5℃でも2,800kcal/h維持、20m/s耐風、4本ゴトクで雪上クッカー安定。冬山で1台しか持てないならこれ。

次点:Primus P-157 インテグストーブ 2024秋発売の国内製造レギュレータ機。100g、4本ゴトク標準、PRIMUSブランドで揃えたい派の対抗軸。

3シーズン低山テン泊

第一推奨:SOTO アミカス SOD-320 5,300円で4本ゴトク、すり鉢バーナーで微風OK。レギュレータ非搭載でも10℃以上なら問題なし。

ファストパッキング・日帰り

第一推奨:Primus P-116 フェムトストーブII 64g、シエラカップに収まる収納体積、必要十分な2,100kcal/h。装備のミニマリズム自体を楽しめる人向け

次点:Snow Peak Litemax GST-120R 56gの国産チタン、2,800kcal/hで日帰り装備の心臓部に。波状ゴトクが小型クッカーを優しく支える。

グループ縦走(2〜3人分)

第一推奨:Primus P-153 3,600kcal/hの火力と4本X字ゴトクで1.5Lクッカーが安定。湯沸かし速度と剛性が効く。

次点:SOTO ウィンドマスター SOD-311 4本ゴトク標準化で1.5L級も載る。82gで軽量。

初めての1台

第一推奨:SOTO アミカス SOD-320 国産・5,300円台・4本ゴトク・ピエゾ着火と、入門条件を全部押さえる。


2026レギュレータ世代の頂上対決:SOTO SOD-311 vs Primus P-157 を一枚表で読み解く

本記事の7本に含めた SOTO ウィンドマスター SOD-311(2026新作)PRIMUS P-157 インテグストーブ(2024秋) は、現時点の国内ハイエンド直結バーナーとして真っ向の対抗関係にある。

SOD-311 P-157
発売 2026年秋(予定) 2024年10月
重量 82g 100g
火力 2,800kcal/h 2,840kcal/h
レギュレータ あり あり
ゴトク 4本(標準化) 4本(標準)
製造 国内製造
価格 9,350円 9,900円

性格を一言で言えば、「SOTO の正常進化(4本ゴトク標準化+軽量化)」 vs 「PRIMUSの新世代(低重心ラミナーフロー+Made in Japan)」。火力・レギュレータ・4本ゴトクという基本仕様が並ぶなかで、18gの重量差をどう評価するか/どちらのブランドエコシステムに乗るかで選択肢が分かれる。

SOTOガス缶を常用してるならSOD-311、PRIMUSテント・ガス缶・周辺装備で揃えてるならP-157、というブランド整合性の話に行き着く。


OD缶の互換性とPSLPGマーク:知っておきたい国内法と各社規格の実情

OD缶(アウトドア缶)の実質国際規格は EN417、バルブはリンダル社の Lindal B188(7/16 NS ねじ)。日本にはOD缶のJIS規格が存在せず、各社が「自社製缶+自社製ストーブの組み合わせ」を公式案内している。

実質的にネジ規格は共通で物理的には接続可能だが、メーカー横断使用は自己責任。ノズル径やパッキン微差でガス漏れリスクが指摘されている。

充填ガス比率も各社で違う(ノルマルブタン/イソブタン/プロパン比率)。寒冷地用はプロパン比率を高めた "EXPEDITION" "ULTRA" などの上位グレードを選ぶこと。SOTOのトリプルミックスやPrimusのウルトラガスなど。

「ストーブ買い替えたら手持ちのガス缶も買い替え」というのは、安全と性能の両面で実は理に適っている。


買い判断サマリー:あなたのタイプ別「結局これを買え」一覧

あなたのタイプ 買うべき1台
国産軽量で安心感も欲しい Snow Peak Litemax GST-120R
装備のミニマリズム自体が好き Primus P-116 フェムトストーブII
初めての1台、5,000円台で SOTO アミカス SOD-320
テン泊通年・1台で10年戦いたい SOTO ウィンドマスター SOD-311
海外UL文脈・MSRを国内正規で揃えたい MSR PocketRocket 2
PRIMUSブランドで揃えたい・国内製造重視 Primus P-157 インテグストーブ
火力第一・グループ・縦走の王道 Primus P-153

「どれを買うか」より先に「あなたが何を最優先するか」を決める。それが決まれば、選択肢は2〜3本に絞り込める。これが本記事の答え。


番外:25g台の超軽量域に存在する PSLPGマーク未取得品について

メイン7本から外したが、読者が比較情報を求めて検索するであろうカテゴリとして、25g台の超軽量域を簡潔に扱う。

BRS-3000T(中国 BRS 社)は親指サイズの 25g・2,700kcal/h・約2,000円という、UL界で長年話題になり続けている超軽量バーナー。海外ULハイクのYouTubeやSNSでは実用報告が多数ある。

ただし、本記事のメイン枠には入れなかった。理由は明確:

  • 日本国内で販売される「カートリッジガスこんろ(直結バーナー)」は液化石油ガス法によりPSLPGマーク表示が義務付けられている
  • BRS-3000T は PSLPGマーク未取得 で、国内販売は本来違法とされる
  • Amazon.co.jp マーケットプレイスや個人輸入での流通は実質的に黙認されているグレーゾーン
  • 正規代理店経由の入手手段は存在しない

法的にグレー(実態は違法に近い)な製品を、UL/軽量化の文脈で「軽いから1番手」と推すのは、ブログとして責任を取りきれない。万一のガス漏れ事故・着火不良時のメーカー対応も、国内代理店がないため期待できない。

それでも 25g の軽量域に魅力を感じる読者は、自己責任のうえで個人輸入するという選択肢があることを認識しつつ、本記事のメイン7本(Litemax 56g / P-116 64g / PocketRocket 2 73g 等のPSLPG取得済み正規流通モデル)で十分な軽量域がカバーされていることを併せて検討してほしい。


まとめ:自分の山との折り合いがついた1台を選ぶために

冷えた指先でガス缶のネジ山を回し、青白い炎が立ち上がる。シュコッ、と聞こえるか、ボッ、と轟くか。56gか、116gか。何を持って山に入るかは、何を山に求めるかと同じくらい個人的な選択。

僕の手元では今もP-153が冬山テン泊の主役。「正しい1台」ではなく、「自分の山との折り合いがついた1台」 を選んでほしい。7本それぞれに「これでなきゃいけない人」がいる。

次は燃料種を変えてアルコールストーブ編、固形燃料Esbit編を書く予定。「ガスじゃない選択肢」の話は、それぞれの世界で別の論理がある。